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施工事例

築124年 快適さと風情の両立、断熱性能を得た京町家リノベーション 京都市

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「124年前の外観に戻し、さらに住み心地よく暮らしたい」施主兼プランナー 小松亮子

なぜか古い日本家屋が子供の頃から好きで、近所で壊されるのを見るたびに「私に言ってくれたらよかったのに」と心の中で呟いては「子供に相談するわけないか」とひとり突っ込みを入れていた小学生時代。
そして、大人になっても「昔からの家を残したい」という想いは続いていました。

一生のうち一度は古い家に住んでみたいと思いながらも、暖かいマンション暮らしに慣れていた冷え性の私は「暑いだろうし寒いだろう。きっと耐えきれないに違いない。子供もいるんだし、好きというだけで選ぶのはどうなのか」と思い切れずにいましたが、「もう中年まっさかり、人生そう長くない!」と覚悟を決め、賃貸で住んでみることに。

隙間が多い上に木枠の窓なので体感はもう外にいるのと同じ、それでも風雨をしのげているだけありがたいと今まで当たり前だったことに感謝することができるほどの過酷さ。
季節を感じながら暮らす、というと聞こえはいいですが、寒さが苦手な私には耐えがたい苦痛でした。
それでも柱の手掘り跡や土壁の中の竹小舞(たけこまい:竹で組んだ下地)に沿ったうねり具合を毎日眺めることの喜びの方が上回りました。
この風情をずっと見ていたい、町家に住み続けたいと改めて意思を強くしたのです。

でもよく考えてみると、20~30年より前に建てられた日本の平均的な一軒家は断熱材が入っていないことも多いので、120年前の家だからといってそんなに体感は変わらないのかもしれません。
かくいう私も20数年前住んでいた実家は、断熱材の入っていない一戸建てでしたので、同じように床からの底冷えに冬中絶望していましたから。

同じ作りの町家に住む隣人にこの暮らしはどうかと尋ねますと、「生まれた時からそこで暮らしているから夏は暑い、冬は寒いのは当たり前・笑」と仰る。比べようがない、なるほどごもっともです。

ですが…、最近は断熱の研究が進んでいるし…。寒暖差でヒートショックが起こるとか、寒いと血圧が上がるとか健康問題にもなっているし…。単純に寒いのはイヤだし…。

より多くの人に住んでもらいたいと思った時、このガマンが必要な住環境では心からお勧めできません。
よし次は、自分で快適に改装してみよう、それが実現できれば、築古の家に住みたいけど…と躊躇している人が喜んでくれるはず、と本格的に物件探し。
運よく近所で見つけることができました。

昭和初期に改修されたタイル張りの外観は、レトロさがあってそれはそれでよかったのだけれど、元のお顔に戻すことに。
さらに断熱材と断熱サッシ、そして体に優しい無添加住宅の素材を使用し、暖かさ、健康への配慮にもこだわりました。
もちろん、昔の軸組構造に合う耐震補強も行っています。
その結果、築120年であろうと的確に改築すれば、昔から受け継がれてきた街並みや風情を残したまま、住環境を改善できると確信しました。

そして、今後も長く長く住み続けられます。
当然ながら、どんな高価で丈夫な家でも、メンテナンスを怠れば住めなくなります。
そして、今流行りの家は30~50年くらいでの建て替えが前提です。安価に提供するために、柱や梁にも集成材が使われるなど、その接着剤の寿命が家の寿命と言えるほど多く使われているからです。
対して無垢材の家は、適切にメンテナンスすれば1,000年もつ材を使っています。
何倍も長く住み続けることができるのです。
               

私たちは、年代問わず建物すべてに建てた人の想いがこもっていると考えます。
建てた人というのは、施主様。
そして、大工さんをはじめとする職人さん達のことも含みます。
関わる誰もが、いい家を作りたいという想いを持っていたはず。
今でも良い職人さんは、住む人に喜んで住み続けてもらいたいと思い心を込めて建てているのです。
そして、建てた後も責任を持って経年劣化した部分を修善し見守り続けるのです。

だから、築何年であれその想いがこもっている家をできるだけ活かし、住み心地をよくしたうえで住み継いでもらいたいと思っています。

現在、町家は1年で800棟から1000棟ほど解体されていると言われます。
現存で築100年〜300年前後の歴史がある町家は木造ですが、先ほどもお伝えしたように木は手入れや環境次第で1000年以上持つ材料。
1件でも多くの町家を快適に改装することで、「私も住みたい」という方々にあと900年住み継いでいっていただきたいと心から祈ります。

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そして、有難いことに、このリノベーションは2025年度無添加住宅デザインコンテストにて、リノベーション物件初の特別賞を受賞いたしました。
これを励みに、より一層良いものを残し引き継いでいくリノベーションを心がけていく所存です。

それでは、『築124年 快適さと風情の両立、断熱性能を得た京町家リノベーション 京都市』どうぞご覧ください。


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完成写真

After 外観 吹付けとタイルの外壁を剥がし、漆喰塗りと板張りに。元の写真がなかったので本当のところはわからないけれど、きっとこんな感じだったはず。2階部分も天井高が余裕な総二階の造り。
Before 外観 タイル張りと吹付けの昭和レトロな顔
アンティークの外灯
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After 玄関 天井や壁の化粧べニアを取ると、2階の床を兼ねる板張りや土壁が出てきた
Before リフォームが繰り返され、玄関に据え付けられていた階段
After 台所 化粧べニアとタイルを剥がして元の木組みを見せた  
Before 台所 火袋(ひぶくろ)と言われる吹き抜けがふさがれ、2階に1部屋できていた
天井を抜き、火袋を復活。
換気扇上は2階の窓を開閉するためのキャットウォーク
左手は124年前の土壁、右手は断熱材を入れた漆喰壁
124年前の土壁、部分補修でまだらになっているが、この風情が魅力
124年前の土壁の表面をこそげ、上塗りした土壁。真新しいのも美しい
 
After 表の間 出格子(でごうし)を復活。補強のため壁を増やした
Before 表の間

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出格子の内側は、意外と明るい
漆喰壁にトグルスイッチ
After 表の間 天井に張り付けていた化粧合板を取り去り、元の板へ戻した
Before 表の間
表の間から居間を見る
縁側をはさんで坪庭
出てきた124年前の梁には擦った後や、鴨居の跡もある。昔は新築でも中古の材を使っていたという。ということは、この梁は江戸時代の家も支えていたのかもしれないと思うとワクワク

建具は全てアンティーク
ほとんどが別々の家で使われていたもの

トイレ入り口
トイレ
洗面台 昔の面影を再現した白タイルの洗面台
洗面所システムバス
洗濯機置き場
階段
2階廊下 天井を取り、丸太の梁を見せた。昔の電気配線をデザインとして残した
2階廊下
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個室1
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個室2
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個室3
奥の天井付近の開口は、空気が循環するように隣のファミリークローゼットと繋げるためのもの
ファミリークローゼット
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